第8話
フェイリス「まったく、凶真はワガママでしょうがないニャ~」
倫太郎「む? フェイリスよ、なぜここにいる」
まゆり「まゆしぃが呼んだのです」
フェイリス「お帰りニャさいませ、ご主人様♪」
至 「出張メイクイーン+ニャン2キター!」
フェイリス「まゆ氏からだいたいのことは聞いてるニャン。凶真の聖誕日が近づいていて、でも凶真の性格的にそれをお祝いされると自分自身の心の闇を垣間見てしまうことになるから、あまり乗り気じゃニャい……って」
倫太郎「待て。勝手に人の心に闇を作るな」
フェイリス「違うのニャ? 混沌を望む狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真ニャのに?」
倫太郎「フハ、フゥーハハッハフ! ち、違いはしないぞフェイリス! お前の説明は全部その通りだ!」
まゆり「オカリンでも喜んでくれるようなお誕生日の祝い方について、フェリスちゃんならいいアイデアを出してくれそう♪」
至 「僕としては、るか氏の白無垢姿も、ちょっと見たかったわけだが……!」
紅莉栖「やめなさい。恥ずかしさのあまり泣いてたでしょ、彼女……じゃなくて、彼」
まゆり「ねえねえ、どうかな、フェリスちゃん。アイデアある?」
フェイリス「もちろんあるニャ♪ しかも、秋葉原のメイドならではの企画なのニャ!」
至 「ゴクリ。それってつまり……」
フェイリス「ズバリ、凶真の誕生日イベントを大々的に開催するのニャ~!」
倫太郎「イベント、だと?」
フェイリス「来てくれたお客さんとの握手やツーショットチェキ、さらには凶真のカラオケリサイタルも用意して盛り上げるのニャ。場所はメイクイーン+ニャン2を提供するニャ♪」
まゆり「わ~、面白そう」
倫太郎「見損なったぞフェイリス! この俺――狂気のマッドサイエンティストを偶像として祭り上げ、あまつさえそれを利用して商売しようとは。それがいったいどんな結果を招くのか、分からないお前ではあるまい……。この秋葉原に……血の雨を降らせたいのか……!」
フェイリス「それでも……それでも、この秋葉原という街を維持していくためには、育てていかなくちゃいけないのニャ、七人の英雄――オータムリーフ・セブンを!」
まゆり「日本語でOKだよ~☆」
倫太郎「オ、オータ? セブン?」
紅莉栖「なんで岡部があたふたしてるのよ」
フェイリス「凶真、分かっているはずニャ。秋葉原は今、刻一刻と、パラダイムシフトに近づいていると」
倫太郎「い、いかにも。大いなる遺産は着実に浸食され、もはや見る影もない」
フェイリス「秋葉原に住む人にはそれを防ぐことのできる英雄たちの存在が、必要不可欠……。そして古き言い伝えにはこうあるニャ。彼らは自動的に現れるのではない、この街を守りたい者たちの意志が育てるのニャと」
倫太郎「なっ、そ、そうか、そういうことか!」
紅莉栖「さっきからいったいなんの話をしているんだか……」
至 「つーかさ、フェイリスたん。オカリンの誕生日イベントって事前告知しても、さすがに客は誰も来ないんじゃね? オタはそのへんはシビアだお。どこの馬の骨とも知らない男子大学生の誕生日イベントに金使おうとは思わないわけで」
フェイリス「……それもそうだニャ」
倫太郎「誰が馬の骨だ!」
フェイリス「凶真! もっと成長してもっと有名になるニャ! 具体的にはメイクイーン+ニャン2で執事として働くニャ。そしたら3年後ぐらいに凶真単独の誕生日イベントをやれるはずニャ♪」
倫太郎「俺を利用しようとするなフェイリス……。さもなければ、混沌に飲み込まれるぞ」
フェイリス「あえてその混沌に身を委ねてみても面白いと思ってるのニャ」
倫太郎「混沌に染まれば純潔なるメイドは務まらん」
フェイリス「メイドオルタ。そういう概念があると、聞いたことがあるニャ」
至 「闇堕ちフェイリスたんキター! 立体フィギュア化キボン!」
フェイリス「ニャフフ」
倫太郎「ええい、ああ言えばこういう奴め! 付き合ってられるか!」
紅莉栖「また話が脱線しまくってるじゃない……。真面目に話す気があるのか?」
まゆり「オカリン、なかなか乗り気になってくれないなぁ……」