第6話
まゆり「じゃーん♪ ちょっと話が行き詰まっちゃってたから、萌郁さんを呼びました~☆」
萌郁 「…………どうも」
至 「おお。相変わらずのドスケベボディ……」
紅莉栖「橋田。ナチュラルにHENTAI発言をかますのはやめろ。相手は2次元じゃないのよ」
倫太郎「まゆりよ、なぜ急に閃光の指圧師を呼んだのだ? 言ったはずだぞ、俺の誕生日を祝うのは不要だと」
至 「涙拭けよオカリン」
倫太郎「泣いてない!」
まゆり「でもね、やっぱりラボメンのみんなで、オカリンのお誕生日をお祝いしたいなあって。それで萌郁さんにも意見を聞いてみようと思ったのです」
倫太郎「フ、フン。勝手にしろ……」
まゆり「ねえねえ。萌郁さんだったら、オカリンの誕生日をどうお祝いする~?」
萌郁 「…………」
まゆり「……? 萌郁さん?」
倫太郎「無駄だ。閃光の指圧師は口では滅多に喋らん。その代わり、メールを受信しているはずだ」
まゆり「わ、ほんとだ。まゆしぃのケータイにメールがたくさん!」
萌郁 「…………」
まゆり「えーと……。『今日は呼んでくれてありがとう♪ なんだかみんなとの距離を縮められそうで、ウッキウキな気分です♪ それにしても岡部くんの誕生日がもうすぐだなんて初耳。秋葉原の情報通的なことをしてる私なのに、まだまだ修行が足らないな。テヘッ☆ミ ただ私ってこう見えてかなりの恥ずかしがり屋さんなの。面と向かって年頃の男の子の誕生日をお祝いするなんて……キャッ! 照れちゃう! 無理! だからできれば直接顔を合わせずに、メールだけでこう言ってあげたいな。“お・め・で・と・う♪” 萌郁』」
倫太郎「結局メールで済ますということではないか!」
萌郁 「…………」
まゆり「あ、またメール来たよ~」
まゆり「『ちなみに岡部くんのことは、普段よく中央通りや駅前で偶然見かけたときに隠し撮りしてま~す♪ その中から厳選した写真を、誕生日に合わせてみんなに一斉送信してあげるね。そうしたら、みんなで祝っている感じも出ると思うの♪ 萌郁』」
倫太郎「なん……だと? 盗撮? 盗撮だと!?」
至 「盗撮……エロすぎる響き」
倫太郎「閃光の指圧師よ、お前、いつの間に!?」
萌郁 「……もう、300枚くらい、撮った」
倫太郎「バカな……この俺が、撮られている気配にすら気付かなかったとは……。気配遮断のスキル持ちとは、貴様、やはり機関のスパイか!?」
至 「つーか桐生氏、オカリンの盗撮写真とかどうでもいいからさ、もっと他の盗撮写真ないの? かわいいおにゃのこのやつ!」
紅莉栖「それ以上は犯罪よ橋田!」
至 「なにいい子ぶってるんだお! 牧瀬氏だってそんな顔して興味あるくせに!」
紅莉栖「な、ないわよ!」
至 「赤くなってるじゃん! ぜんぜん説得力ないっしょ、このムッツリスケベ!」
紅莉栖「ち、違うわよ! 私が考えてたのは、岡部の盗撮写真を手元に置いておけば、今後、岡部からの無茶な要求に対する取引材料に使えるかもしれないってことであって……」
まゆり「ツンデレ乙だよ、クリスちゃん☆」
クリス「違うってば!」
倫太郎「くっ、この俺、鳳凰院凶真の恐るべき秘密が写った写真……もしそれが世に出回れば、とんでもないことになる。それだけではない、世界中にいる機関のエージェントどもが、この秋葉原に俺がいることに勘付いてしまう。写真の拡散だけはなんとしても阻止しなければ……。ダル! 萌郁からケータイを奪え!」
至 「ななな、なんで僕が?」
倫太郎「萌郁ならフェイリスの盗撮写真も持っている可能性大だぞ!」
至 「ガタッ!」
まゆり「だ、ダメだよ、無理に取ったりしたら」
倫太郎「盗撮は犯罪だ! 無理に撮られたのは俺なのだ! 被害者の立場として、写真はすべて消さねばならん! やれダル!」
至 「オーキードーキー!」
萌郁 「……っ! いやっ!」
至 「よし、ゲットしたお!」
倫太郎「悪いが中身を見させてもらう――」
萌郁 「ふーっ、ふーっ、ふーっ……」
至 「ちょ、桐生氏、鼻息めっちゃ荒いっつーか、目が怖いんだけど……」
萌郁 「は~~~~~し~~~~~だ~~~~~!」
至 「は、はい!?」
萌郁 「そいつを、返せぇぇぇ!!! さもないと、お前……の、目玉をくりぬいて……っ、踏み潰してやるぞぉぉ……!」
至 「は、はあああああああああん、もっとおおおおおおぉぉぉ」
紅莉栖「なんで喜んでるのよ……」