最終話
倫太郎「まゆりよ、どれだけラボメンを連れてきて説得しようとも無駄だ! この俺は狂気のマッドサインティスト、鳳凰院凶真! 世界に混沌をもたらすため、誕生日などにうつつを抜かしている暇はない! ということで、これをもって第……ええ~、第346回円卓会議を終了する!」
まゆり「ええ~、そんなぁ……」
至 「ま、本人がやる気ないなら無理にやる必要はないんじゃね?」
まゆり「でも~……」
倫太郎「た・だ・し」
まゆり「……?」
倫太郎「まだこの俺が結論を翻すかもしれない、最後の手段が残されている」
まゆり「最後の手段……?」
至 「それって普通、自分から言うもんなん?」
まゆり「オカリン、教えて。その最後の手段ってなぁに?」
倫太郎「最後の手段。それは……」
まゆり「それは?」
至 「それは?」
倫太郎「そこの助手がこの俺に頭を下げ、“どうか鳳凰院凶真様の誕生日を祝わせてください”と言うことだ!」
紅莉栖「はあ? なんで私が謝るのよ」
倫太郎「最初に祝いたくないと言ったのはお前だろう、クリスティーナ。つまり裏切り者、ということになる」
紅莉栖「……やれやれ。本当に大人げないわね、岡部。そもそも話をややこしくしてるのはあんた自身なのに。なんでいちいちめんどくさいことばっかり言い出すのよ。普通だったら、祝われる側として素直な感謝の気持ちを表明すべきでしょ」
倫太郎「ぐ……」
紅莉栖「いつまでもそんな子供みたいな駄々をこねてると、誰からも愛想尽かされるわよ。せめてまゆりにだけでもいいから、ちゃんとしたお礼の言葉をかけてあげなさいよね。私は、どっちにしろ祝うつもりはないけど――」
まゆり「あれれ? クリスちゃんのバッグの中に入ってるのって、オカリンの誕生日プレゼント?」
紅莉栖「ふぇっ!?」
至 「おお、ホントだ。それっぽい包みがバッグからはみ出てるお」
紅莉栖「あ、あああ! 待って、違うこれは! 待って!」
倫太郎「ほっほぉぉぉぉぉう?」
紅莉栖「…………」
倫太郎「ほおおおおおう? ほうほうほ~~~~う?」
紅莉栖「ぐ……」
倫太郎「助手よ……ククク、そうか、そういうことか」
紅莉栖「な、なによ」
倫太郎「……俺だ。今、すべての謎は解けた。……ああ、すべては、助手の単なる照れ隠し、すなわちツンデレ的な行動だったということだ」
紅莉栖「あんたに言われたくないわけだが」
倫太郎「ククク、さすがの俺も今回ばかりは一杯食わされた。……ああ、どうやら世界は、思った以上に混沌に満ちていたらしい。しかしこれが運命石の扉の選択だ。エル・プサイ・コングルゥ」
まゆり「クリスちゃん、本当はちゃんとオカリンのお誕生日、お祝いするつもりだったんだね~♪」
紅莉栖「勘違いしないで。私は、一応知り合いなんだから最低限のマナーとしてプレゼントを用意しただけ。岡部があの態度のままなら渡すつもりは――」
倫太郎「フゥーハハハ! 助手よ! いや、クリスティーナよ!」
紅莉栖「助手でもクリスティーナでもない!」
倫太郎「前言撤回だ。改めてお前に、この鳳凰院凶真の誕生日を助手として盛大にお祝いする権利をやろう」
紅莉栖「いいえ、お断り――」
倫太郎「拒否権はない!」
紅莉栖「はあ!?」
倫太郎「いいか、お前とまゆり、さらには全ラボメンを総動員して、この俺を祝うがいい。だが単なる誕生日会などでは俺は満足しないぞ。なにしろ、この俺自身が誕生日当日にはいろいろと仕掛けてやるつもりだからな!」
紅莉栖「ダメだこいつ……完全に調子に乗せちゃったわ……」
まゆり「クリスちゃんクリスちゃん。後で、一緒にケーキ買いにいこうね♪」
紅莉栖「はあ……、分かったわよ。それであいつが満足するとは思えないけど」
まゆり「オカリンが楽しそうだから、まゆしぃはそれでいいのです♪」
倫太郎「手始めに、そうだな……公式ツイッターをジャックすることで、この鳳凰院凶真がいかに恐ろしいかを世に知らしめてやる! ダル、今すぐ公式ツイッターアカウント(https://twitter.com/kagakuadv)をハックしろ!」
至 「結局僕にやらせるのかよ!」
倫太郎「ククク、今年の誕生日は、面白くなりそうだ。エル・プサイ・コングルゥ」